タイムラプス動画の作り方2014 Part 3.撮影する

いよいよ撮影ですが、まずは、必要な撮影枚数と撮影時間をあらかじめ考えておきます。

撮影枚数は、動画にしたときのフレームレートと必要なカットの長さに従って決めます。自分の場合、24fpsで動画を作成します。使う楽曲にもよりますが8~12秒程度のループとなるような曲を使うことが多いため、余裕をとって15秒程度の長さのカットが必要です。このため、必要な撮影枚数は、
 24fps x 15sec = 360frame
となり、1回の撮影枚数は最低でも360枚必要となります。

各シーンでの基本的な撮影方法として以下の撮り方をしていますので、昼間に雲を撮影する場合は撮影だけで30分、撮影前後の準備などを含めると40分程度の時間が必要となります。
日中の雲の動き:5秒間隔のインターバル撮影
5sec x 360frame = 30min
人や車の動き:0.5~1秒で連写
1sec x 360frame = 6min
俯瞰での夜景の撮影:3秒程度で連写
3sec x 360frame = 18min
なお、連写時は、カメラ内の画像処理やカードへの書き込み等により、1枚あたりの処理時間はシャッタースピードよりも0.5~1秒程度長くなりますので、撮影時間にはその分のマージンが必要です。

0.事前準備
タイムラプス撮影時には、カメラの設定をいくつか変更しておきます。カメラメーカーにより各設定の名称が異なるため、Panasonic GH3とPentax K-3を例にしておきます。
1)撮影後のプレビューは必要ないためプレビューなしにします。
  GH3:オートレビュー→OFF
  K-3:クイックビュー→オフ
2)カメラを固定しての撮影ですので、手振れ補正をOFFにします。
  GH3:手振れ補正→OFF
  K-3:Shake Reduction→OFF
3)画像の記録設定
最近は撮影枚数が多くなるブラケットの撮影以外はRAWで撮るようになりました。撮影後の現像処理が必要なため作業時間も増えますが、画像の解像感、ノイズリダクション、ホワイトバランスやハイライトのリカバリなどの調整幅が大きいため、RAWで撮ることをお勧めします。
JPGで撮る場合は、撮影シーンに合わせて以下のように画像の設定を変えています。ISO感度を上げる夜の撮影では、編集時のエフェクトの追加でノイズが目立つ場合があるため、コントラストの低い設定にし、必要に応じてノイズリダクションをかけます。なお、画像サイズは最大サイズを設定しています。
  GH3:フォトスタイル 昼:風景 夜:ナチュラル(NR+3)
  K-3:カスタムイメージ 昼:風景 夜:ナチュラル
4)撮影時間が倍になってしまう、長秒時のノイズリダクションをOFFにします。
  GH3:長秒ノイズ除去→OFF
  K-3:長秒時NR→OFF

1.大まかな構図を決める
こんな感じで構図を考えて撮っています。
・景観の主体となるものを左か右に寄せて、一方の空間に広がりを持たせる。


・建物と人や車を対比させる


・手前になにか入れて奥行きを出す。


・特徴のあるものはドンと真ん中に置く



2.カメラを固定する
基本的には三脚を使用しますが、撮影場所により三脚では対応できない場合がありますので、その場合に使用している機材も紹介しておきます。

1)三脚
主に屋外で使用しますが、足を縮めた状態で展望台等でも使用します。六本木ヒルズは床置きに近い状態となりますし、サンシャイン60は窓ガラスまで奥行きがあるため、ミニ三脚ではなく普通の三脚を使用した方が撮りやすくなります。
GITZO GT1541T
Really Right Staff BH-25 Pro
カーボン製の三脚と小さなボールヘッド雲台で軽量化とコンパクト化を図っています。
GITZOの三脚GT1541Tは、後継のGT1544Tの販売に伴い販売終了となっています。雲台は最近購入した Really Right Staff BH-25 Pro。両方あわせて重量は1.2kg弱です。カメラにはアルカスタイルのプレートを使用しています。
この写真で使用している雲台はGITZOのGH1781TQR
華奢な感じがするかもしれませんが、広角の撮影となるためか、突風が吹いたとき以外で撮影結果にブレなどの不都合を感じた経験はありません。タイムラプスにおいて三脚は必須の機材ですので、持ち出すのが面倒になるような重くかさばる三脚は購入を避けるべきだと考えます。価格.comで、本体重量1kg以下、縮長50cm以下、搭載重量4kg以上、最高全高1400mm以上で三脚をスペック検索すると、選択肢としてはこんな感じになります。
Velbon ULTRA MAXi mini
ミニ三脚としてVelbon ULTRA MAXi miniを購入していますが、あまり使用頻度は高くありません。横浜ランドマークタワーの展望台等は、窓ガラスの手前が腰ぐらいの高さまであるため背の低いミニ三脚のほうが撮影がしやすいと思います。

2)狭いスペースでの固定機材
渋谷等の人通りが多い場所や歩道橋のように三脚を置ける十分なスペースがないような場所でのカメラ固定用に、Kenko クランプポッド プロ100ゴリラポッドを使用しています。
歩道橋でクランプポッド
渋谷でGenieとクランプポッド
渋谷でゴリラポッド
水上バスでゴリラポッド

3)窓ガラスへの固定

 Cullmann Suction Pad
東京タワーの特別展望台、横浜マリンタワーは窓ガラスの手前に手すりしかなく、場所も狭いため、吸盤式ボールヘッド(Cullmann Suction Pad)にミニ三脚のセンターポールを付けて使用しています。また、ゆりかもめの先頭での撮影でもこれを使いました。後継機種がLPL VH-205となるようですが、多少形状が変化しているようです。
吸盤での固定方法は主に車載系で使われていて、Kenkoが出しているバキュームマウントグリッパーが比較的多く使われているようです。
東京タワー特別展望台
横浜マリンタワー
ゆりかもめ


3.構図を決める
カメラを固定し、LVで水準器等を使用して最終的な構図を決定します。動画にしたときには19:6や2.35:1のアスペクト比となるため、画像の上下がトリミングされることを前提にしてください。
マニュアルフォーカスでピントを合わせておきます。PENTAXのDA15やCanonのEF24mmF2.8等は、無限遠にコツっとあたるぐらいで大丈夫です。

4.絞り、シャッタースピード、ISOを設定する

4-1.基本的な設定
通常、露出モードはMを使用し、絞り、シャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランスを固定します。

パンフォーカスでの撮影となりますが、被写界深度を得ようとして絞りすぎると逆に解像感が落ちていくので、
  マイクロフォーサーズ:F5.6、APS-C:F8、フルサイズ:F8~11
を基本的な絞りの値としています。各レンズの絞りによる解像度の変化については、Photozoneが参考になります。

絞りを決め、撮影シーン毎にシャッタースピードとISOでカメラの露出計が0EVとなるように調整します。
1)雲の動きの撮影(昼のインターバル撮影)
より良い撮影結果を得るためには、NDフィルターを使用してシャッタースピード遅くします。シャッタースピードを遅くすることで、シャッターユニットの動作時間のバラつきを少なくし、ちらつきを抑制します。
2)チルトシフト、人や車の動きの撮影(連写)
  昼はNDフィルター(ND400等)を使用し、夜はISOを調整して、シャッタースピードを0.5~1秒に設定します。必要に応じて絞りやISOを変更します。
3)俯瞰での夜景の撮影(連写)
 シャッタースピードが3秒程度になるようISOを調整します。必要に応じて絞りを変更します。

ホワイトバランスも固定します。昼は「太陽光」を使い、夜は3800Kに設定しています。

4-2.夕暮れ時の設定
夕方のように徐々に暗くなる場合は露出モードAv(A)で絞りを設定して撮影しますが、露出の変化の追従がなかなかうまくいかず、ちらつきが出る場合が多いです。
これはPanasonicのGH3で撮影間隔を5秒にしてレインボーブリッジを撮影したものですが、撮影開始と終了で、
撮影開始時:F5.6 SS1/13 ISO200 → 撮影終了時:F5.6 SS2.5 ISO400
と露出が変化しました。
撮影開始時:F5.6, SS1/13, ISO200
撮影開始時:F5.6, SS2.5, ISO400
カメラ任せのISO AUTOで撮ると、すぐにISO感度を上げる傾向があり、ISOの上限値を設定できないカメラでは、割り切ってあらかじめISOを上げて設定します。また、シャッタースピードが撮影間隔の5秒に近づいた際にISO感度を手動で変更するといった方法もありますが、内蔵のインターバルタイマでは、途中で設定の変更は出来ないため、こういう場合は外付けのインターバルタイマを使用します。
なお、OVF機ではファインダーからの入射光で露出計が影響を受けるため、ファインダーキャップをして入射光を防ぐ必要があります。

4-3.HDR用の設定
オートブラケットで露出の異なる複数枚の画像を撮影し、撮影後にPCでPhotomatix Proを使ってHDR処理を行います。
HDRは実物大ガンダムにぴったりの表現方法
自分の場合は、適正露出を含め3枚の撮影を行っています。
・GH3の場合
3枚撮影時には±1EVが上限となります
内蔵のインターバルタイマとの併用の設定ができないため、外付けのインターバルタイマを使用します。オートブラケットを連写で撮影するように設定した上で、インターバルタイマでレリーズ時間を2秒程度に設定することで、3枚分を撮影可能にします。
・K-3の場合
3枚撮影時には±2EVまで設定可能です。
内蔵のインターバルタイマはHDRと併用可能ですが、処理時間がかかるため20秒以上の撮影間隔となり、この機能は使用していません。外付けのインターバルタイマを使用します。
PENTAXはワンプッシュブラケットをオンにすることにより、1回のレリーズで3枚まとめて撮影可能ですので、外付けのインターバルタイマでレリーズ時間の設定は必要ありません。

5.試し撮り
撮影を始める前に2,3枚程度の試し撮りを行い、露出や構図を確認します。
雲の撮影で雲が白く飛んでしまっては意味がありません。RAW現像や編集時にある程度調整できるため、若干アンダー気味にします。これまでの撮影経験では、露出計で0EVとした場合、Panasonicはオーバー傾向、SONYはアンダー傾向があるようです。
また、展望台からの撮影時には、窓ガラスへの室内照明の映り込みを防ぐため、ラバーフードやサンバイザー等でレンズの周囲を覆います。照明の映り込みがないかも確認します。

6.撮影を開始する
インターバルタイマを使用する場合は、必要枚数と撮影時間を設定して撮影を開始します。
連写での撮影はレリーズをロックして連写を開始します。なお、PENTAXの場合は、リモコンで連写の開始/停止の制御が可能です。
後は撮影完了まで、雲や人や車が勝手に動いてくれるのを待つだけです。


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