Part5.いろいろ撮影する:タイムラプス動画の作り方2016年版

チルトシフトと宙玉の撮影時の設定について書いておきます。
RICOH THETA Sについては、こちらを参照してください。

チルトシフト


自分はチルトシフトの撮影からタイムラプスを始めました。mockmoonさんのTokyo Miniatureシリーズに痛く感銘を受け、自分でも撮りたいと真似ることから始めています。

先日、日本のチルトシフトの草分けである本城直季さんの講演会に参加してきました。チルトシフトを始めから意識して撮影していたわけでなく、4x5のカメラで自分なりの撮り方を模索した結果として、チルトシフトに行き着いたようです。なお、世界的に有名なのはBen Thomasさんで、東京でも撮影をされています。
こういった先人達の成果のおかげで、自分はチルトシフトなタイムラプスを撮ることができます。

展望台を訪れた人の多くは、下を見下ろしたとき「人が蟻のようだ」とか「車がトミカみたい」とか「建物が模型のようだ」と、目の前の景観にちょっと非現実的な印象を受けると思います。
チルトシフトの効果により、人々が遊び、働き、暮らす空間をミニチュアやジオラマのような絵にして、その印象をより強調して映像にすることができます。ちょとかっこよく言うと「レンズを通して、自分の世界感を映像に投影する」ことができます。

チルトシフトのエフェクトはスマホのアプリでの加工、カメラ内蔵やPhotoshopのフィルターとしても用意されていたりと、ソフト的な画像加工が充実している昨今です。しかし、特に夜景での光源のボケ方などはフィルター加工では出せないため、レンズをチルトさせて撮影するのが自分としてのこだわりです。

レンズとアダプター
展望台からの撮影で構図のバリエーションを考えると、35mm前後と80mm前後といった画角の異なるレンズが必要になってきます。最初にチルトシフトを始めたPentaxのK-7では、ARAX 2.8/35mm Tilt&Shift lens($598)

TILT adapter for use Kiev-C lenses on digital cameras($115)+Carl Zeiss Jena BIOMETAR 2.8/80mm(Pentacon six)

の2本を使っていました。4月にPentax K-1を入手後は、この2本が再び活躍しそうです。

タイムラプス撮影をミラーレスに移行してからは、ARAXKIPONのアダプターとNIKONのマニュアルレンズを組み合わせて撮影しています。

チルトシフトでミニチュア感を出すには、やはり俯瞰での撮影が適しています。
フルフレームのa7RIIでは、展望フロアからの撮影の場合35mmと85mmを主に使用します。
35mmで撮影
85mmで撮影
橋や歩道橋からの撮影のように高さが稼げない場合は、人をできるだけ小さく見せたいため、20mmや24mmを主に使っています。

撮影時の設定
レンズのチルト角は、7度程度を基準にしています。
チルトするとピントを置ける範囲が中央付近から手前になってしまいますが、チルト角が大きいとその範囲がさらに狭まります。また、使用するレンズによってはケラレの発生などもあるため、どれくらいのチルト角が適切かは、実際に撮りながら確認するしかありません。

絞りは、フルフレームではF4~F5.6に設定しています。Nikonの20mmはF2.8の開放で使用した場合、絵が若干ソフトになります。

シャッタースピードは、日中はNDフィルターで0.5secを下限に調整します。見事に晴れた日ならばND400が必要です。夜はISO感度の設定により1sec程度に調整します。
人の動きを中心とした場合は、被写体ブレを少なくするためシャッタースピードを速めに設定します。

撮影間隔が短く撮影枚数が多くなりがちなこと、展望台ではシャッター音がうるさく感じることから、撮影時は電子シャッターを使用しています。a7Sは電子シャッターで連写可能だったのですが、a7RIIは連写ができなくなったため、インターバルタイマーを1秒か2秒間隔に設定して撮影しています。なお、SONYのタイムラプスアプリは、電子シャッターを使用できません。

展望台について
タイムラプスを始めてから6年間で都内の展望台は無料のものも含めていろいろ回ったのですが、特に、ここ2、3年ぐらいの間で撮影場所が少なくなってきていて、寂しい限りです。恵比寿ガーデンプレイスやカレッタ汐留は、三脚が使用不可になっています。去年、新宿のセンタービルに行ったら、窓の手前に囲いができて近づけなくなっていました。また、船の科学館はずっと改装中です。

自分が撮影に使う東京と横浜の展望台は以下となります。

1.六本木ヒルズ(Tokyo City View)
ほぼ360度、東京の景観を撮ることができます。人が多いため、ベンチがある場所では窓際に行くのに待つが必要あります。展示などのイベントが多く室内照明の反射に注意が必要です。三脚の脚を一番縮めた状態で床置きにして撮影します。

2.横浜ランドマークタワー(Sky Garden)
横浜のみなとみらいを中心とした景観を一望できます。ここも人が多いです。売店などの照明を防ぐためのカーテンがあったりして、撮影への配慮が感じられます。窓の手前に腰かけられるぐらいの高さのスペースがあるため、小型三脚でも大丈夫です。

3.テレコムセンター
コンテナヤードとガントリークレーンの動きが撮影できるのがお気に入りです。訪れる人は少なく、椅子もあり、落ち着いて撮影できます。ここも窓の手前に三脚を置けるスペースがあるので、小型三脚でも大丈夫です。

4.サンシャイン60
現在改修工事中で、2016年4月21日オープン予定です。池袋駅方向の景観と首都高の車の流れがお勧めです。人は多めです。窓ガラスの手前に三脚をおけるスペースがあるのですが、窓ガラスまでの距離が遠いため、三脚の脚を一番縮めた状態で置いて撮影します。

5.世界貿易センタービル(Seaside Top)
他の展望台と比べて、営業時間が20:30までと短かめです。人は少なめですが、夕方になると夕日を撮ろうと東京タワー方向の窓に人が並びます。レンズを窓ガラスに近づけないように等、いろいろと注意事項があります。小型三脚でも撮れますが、窓ガラスの手前のスペースが狭いところもあるため三脚を使用しています。

6.東京タワー
特別展望台がお勧めですが、フロアは狭く人も多いため三脚は使いません。吸盤で窓ガラスに固定して撮影しています。保護フィルムに傷が多く、冬は窓ガラスが曇りやすいのが残念です。

7.横浜マリンタワー
大桟橋に大型客船があるといい感じに撮れます。ここも、吸盤で窓ガラスに固定して撮影しますが、結構ゆれます。

宙玉

宙玉は使いどころが難しいですが、水晶玉に世界を閉じ込めたような絵になります。

接写しての撮影が必要となるため、レンズ交換ができるカメラでは接写リングを使い、コンデジではクローズアップレンズを使います。また、宙玉と併せてExtension tube 72も買っておきます。

機種別の設定例

Panasonic GH4
接写リング10mm
Olympus25mm
ステップアップリング3~4個
Extension tube 72 5mm+10mm+20mm
Soratama 72

SONY RX100M4
No.10 クローズアップレンズx2個
Extension tube 72 20mm+5mm
Soratama 72

Panasonic LX100
No.10 クローズアップレンズ 43mm
ステップアップリング 43mm-52mm
No.10 クローズアップレンズ 52mm
ステップアップリング 52mm-58mm
ステップアップリング 58mm-62mm
ステップアップリング 62mm-72mm
Extension tube 72 20mm
Soratama 72

撮影時はマイクロフォーサーズでF8等、ある程度絞らないと宙玉の輪郭がぼやけてしまいます。また、撮影時は上下、左右が反転して写るため、構図を決める場合にその点の考慮も必要です。
撮影時
編集時
魚眼と同様にかなり広角ですので、被写体に出来るだけ寄った方がいい絵になります。


「Part 6.撮影後の素材の処理と編集」に続く




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